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COLUMN

2021.03.08

広がる記憶は砂紋のように

  • 連載:楽園は、いつも側に精神の深くにある。

私は仕事終わりと休みの日に絵を描いています。
自分が思い描く「楽園」を想像して、私の心内に残る、旅した経験や感動した出来事、美しいと思うものを考えてかいてきました。

日々の生活はとても大変で、一筋縄ではいかず、生きることは本当に凄いことだと思います。

私はまだ絵を続けたい、
自身の精神の綻びが、自由になり
また家族友人、絵を見てくださる方に感謝をこめて。
安息を届けたいからなのだと思います。

砂丘

旅をして、見たものを絵にする。

特に好きな場所は砂丘。

はじめて砂丘を見に旅に出かけたのは数年前の春だった。
砂丘につくと、先に見える海、風がふくたびにゆらぐ砂紋が眠る時に感じる心音のようで
夢に何度かみた「楽園」の通り道のような景色だとおもった。

一緒に旅をした友人は当時20代で、私もそうだった。
ずっと続けばいいのにと思うくらい、旅している時間は楽しい。

旅行の写真を見返すと
どれもあの時間から何一つ変わってない、大好きなあの時間が止まったままだ。
写真をみるたびに、日々上書きされていく記憶が、思い出を再び呼び戻してくれる。

砂丘をかくようになったのは
もしかしたら、記憶をとどめておきたいからなのかもしれない。

安らいだあの時間に美しさがあったから描きたいのだ。
旅した時間がわたしにとっての永遠なのだから。

PROFILE

  • アーティスト
    長谷川海

    女子美術大学卒業。日常や旅行で感じたことを想像して絵をかきます。何気なく感じる非日常的な風景に惹かれます。また生活している時に感じたリラックスや休息をテーマに制作もしています。
    「ボクのビーチはときどきうかぶ 」(RiverCoffee&Gallery/本郷、2018)、「長谷川海展」(スパイラル/南青山、2019)。第20 回グラフィック「1_WALL」都築潤審査員奨励賞。第213 回 イラストレーション ザ・チョイス入選。JAAT「100人10」展選出。

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