連載:僕らはみんな、生きている!
- 2020.12.04
〜未来への光を灯す、もの創りをする人たちの暮らしの光をちょこっと見せてもらいます〜
今僕たちは、経験したことのないような不安や葛藤と暮らしている。
それでもどうしようもなく生きていたいと思う。そう思える気持ちはどこから生まれてくるのだろう。その心を支える光となるものはいったい何だろう。

私は人のぬくもりと生きている。
2月末に2年弱お世話になった会社を辞め、イラストレーターとして独立した。
ひとりでも、生きていけそうかなと思ったからだ。
その直後くらいから、コロナ騒動が始まり世の中が大きく変化し始めた。
決まっていた仕事やイベント、個展なども相次いで中止になり収入が激減。
完全に会社を辞めるタイミングをミスったなぁ~とかって思ったりもした。
イラストレーターとしての仕事は
基本自宅でやっているので自粛生活は苦ではないと思った。
電車に数ヶ月乗らない生活も電車嫌いの私には何の問題もなかった。
人と会わない生活も別に余裕っしょとかって…最初は思っていた。
しかし、人と会わない、会えない生活を数ヶ月続けていくうちに
身体がおかしくなり、悲鳴をあげ始めた。
訳もわからず、涙が出てきたり、胃腸炎になったり、身体のあちこちが変になった。
(基本、自分はハッピーポジティブ野郎だと思ってるから)
らしくないな~と思いながらも携帯のメモにこんなことを記してたりしたから
相当やばかったんだと思う。
「朝から動悸が収まらないうえに、気を抜くと泣きそうになる。これは、限界突破しちゃってる…かんじ?」
今見ても、やっぱ、らしくないな~って笑えてくるけど
あの時の自分はこれっぽっちも余裕がなかったのだと思う。
何が正しいのか、何のために生きているのか、色々とわからなくなってた。
笑えなくなった。限界突破していた。
仕事中もひとり、友人にも会えない、恋人にも会えない、大好きなカフェにも行けない。
誰にも会わなくても生きていける人間だと思っていたけど、そうでもなかったみたいだ。
今まで生きてきた中で1番孤独を感じた。
今までの当たり前に過ぎゆく生活がどれだけ幸せだったか気づいた。
ひとりで生きている、生きていけると思っていた自分の生活は
全然ひとりじゃなかったんだ、誰かがあってこその生活だったんだって気づいた。
私の生きていくための光は周りにいてくれる“大事な人”たちだ。
みんな無しではやっぱ生きていけない、枯れてしまう。
それに気づけたから、少しだけコロナには感謝する。
人は慣れる生き物だ、すごいと思う。
マスク生活も、検温されるのも、消毒する生活ももう慣れた。
人と会わない数ヶ月間、とても苦しかったけれど
何回も言うけど、病むキャラじゃないから、病んでる自分に戸惑ったけれど。
そんな自分もたまにはいいじゃんって思ったし
色々と考え直すいい機会になってよかったなと思う。
自分は何をするのが好きで、何を大事に生きていきたいのか。
誰が好きで、誰と生きていきたいか。本当に大切なものに気づけた。
ひとりで生きていけないということも分かった。
今、誰もがもがき苦しみながら頑張って生きている。
コロナが過ぎ去った後の世界は前とは違うものになると思うけど
当たり前だったことが、当たり前じゃなくなるけど
とにかく私はこれからも変わらず、みんなと笑って生きていきたい。
何とかなるし、この生活を楽しんでいきたいと思った。
みんながいるから私は輝いていられる。
数年後にあの時は大変だったねって“みんなで”笑っていられればそれでいいじゃん。
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