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おもいつきの声と色

#1 馬が暮らす絵本

企画制作:小島聖、平松麻
動画撮影/編集:黄瀬麻以

S:紙芝居を始めたきっかけはなんですか?

平松:今年の4月にマッチ箱絵画の展覧会をやっていました。そこで簡単な詩を書いたメモも展示していたんですね。会期中、聖さんのお家に遊びに行って、その展覧会の話をした時に、「今から私が(この詩にあわせて)絵を描くので、紙芝居みたいにして、聖さん読んでもらえませんか?」と言った覚えがあります。私は聖さんの声がすごく好きだったので、お願いしてみました。そうしたら聖さんが画用紙を出してくださって、その場で絵を描き、メモを渡して、ぶっつけ本番で読んでくださいました。

小島:きっかけは、それぐらいのラフな感じです(笑)。
やりだすと頭の中に物語を考えるというような空間ができていて、いつも何か思いついたら書きとめたり、そういうことの積み重ねでできています。「紙芝居をつくろう!」と意気込む感じではなく、とにかくつくる時間が楽しかったし、それを名目に麻ちゃんに会えるというのも楽しかった。

撮影:黄瀬麻以

S:誰かに向けてつくろうと意識していたことはありますか?

小島・平松:ないです(笑)。

小島:自分たちがとにかく楽しかった。たまたまインスタに載せてみたら意外と「紙芝居いいね」という反応があって、誰かに向けてというのでもなく、子どもに優しいわけでもなく、そういう感じが逆に敷居なく見てもらえたのかと思います。

平松:私は絵が毎日の風景にあることが好きなので、紙芝居もそのひとつになりつつあります。
展覧会で絵を発表する時、私にとって絵は原画1枚しか存在しないのですが、紙芝居には言葉が乗って、誰かが読んでくれると広がりがすごい。ひとりきりで向き合うタブローとは違うので、それが自分の油彩画制作にもどう影響するのか興味があります。絵に聖さんの声が加わると一気に物語が流れ出します。

撮影:黄瀬麻以

S:今回の紙芝居はどのようにつくられましたか?

小島:まず、私がすごい長文を麻ちゃんに送って、それを直してもらいつつ。

平松:私がそれに足しちゃったので、さらに長くなって。

小島:でも、生まれたのであれば別に削らなくてもいいかなと思って。
日常生活の中から生まれました。

撮影:黄瀬麻以

S:SPINNERの読者に向けてメッセージをお願いします。

小島:自分が健康でいるために、この(紙芝居をつくる)時間は結構必要になってきています。ちょっとリハビリの時間というか。自分で読書をする時は黙読が多いと思いますが、本や紙芝居を子どもに読み聞かせたり、声に出して読むということは結構発見があって、同じ本でも黙読していた時とまた印象が変わったりもします。絵と声が日常にあるものになっていけたらいいなと思います。

平松:とにかく絵のある日常が私にとっては至上のよろこびなので、皆さんにも絵の近くに来てみてほしいなと。紙芝居だとお話や声があって扉が広く開かれるようにも思うので、一緒に楽しんでもらえたらと思います。

PROFILE

  • 女優
    小島聖

    1976年生まれ、東京都出身。1989年、NHK大河ドラマ『春日局』で女優デビュー。その後、ドラマや映画、CMなど様々な分野で活躍。柔らかな雰囲気と存在感には定評があり、映像作品はもとより話題の演出家の舞台にも多数出演。また30代で出会った山の魅力に魅せられ、プライベートでは国内外の様々な山を登るなどアウトドアに関するライフスタイルでも注目され、2018年には自身初のエッセイとなる「野生のベリージャム(青幻舎)」を刊行。

  • 画家
    平松麻

    1982年生まれ、東京都出身。油彩画を主として展覧会での作品発表を軸に活動する。自身の体内に実在する景色を絵画にし、「雲」をモチーフに据えた心象風景を描く。2020年6月~2021年末まで、朝日新聞夕刊連載小説、柴田元幸新訳「ガリバー旅行記」の挿絵を担当中。森岡督行・書籍(『本と店主』誠文堂新光社/15年)、村上春樹・アンデルセン文学賞受賞の講演テキスト(『MONKEY vol.11』SWITCH PUBLISHING/17年)、穂村弘・書籍(『きっとあの人は眠っているんだよ 穂村弘の読書日記』河出書房新社/17年)、三品輝起・書籍(『雑貨の終わり』新潮社/20年)など挿画も手掛ける。マッチ箱に絵を描くシリーズ「Things Once Mine かつてここにいたもの」も発表中。

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