〈特別版〉みんなでつくる紙芝居
企画制作:小島聖、平松麻
みんなでつくる紙芝居
今回は特別版として、3月に長野・松本の「10cm」で開催された「おもいつきの声と色」はじめての紙芝居ワークショップについて、当日の様子を撮影した映像とお二人の感想にて振り返ります。

平松:私たちにとって初めてのイベントは幸せを浴びた時間でした。大人も子どもも絵の具を触りながらエネルギーを解放!紙芝居をつくる楽しみをようやく一緒に分かち合えるワークショップができて、満ちた気持ちになりました。
小島:もともと紙芝居を始めた当初から、みんなで一緒につくりたいねという話をしていた中での第1回目のイベントだったので、感慨深いです。私たちも緊張したし、参加した方々も緊張していました。ある小学生の女の子が「もう1人のわたしが手で描くのをダメって言ってる」と、自分自身と対話をしながら徐々に弾けていく感じが印象的でした。絵の持つ体も心も解放する力はすごいなと改めて実感しました。
平松:掌をパレットにする子、色が混ざらないように慎重に筆運びをする子、指で描く子、子どもたちに負けない集中力で描くお母さんやお父さん。まっすぐな創作が絵具と溶け合って、絵が仕上がっていくようすを眺めていてドキドキしました。絵はみんなの内側に広がる世界をそのままこちらに見せてくれるんだな、と。
それぞれの世界がひとつの紙芝居に束ねられて、ワークショップの最後にいちにち限りの紙芝居が出来上がるわけですが、それはもうとっても豊かなものでしたよね。

小島:とても豊かでした。あと面白かったのは、紙芝居の舞台(枠のこと)にみんなが興味津々だったこと。扉を開けたいし、カーテンも開けたいし、紙芝居も引っ張りたいし。自然と舞台に集まって、子ども同士が仲良くなっていたのも印象的でした。絵本と違って、舞台がある事が物語に引き込むんだなと。
平松:どうやら紙芝居に舞台は必須アイテムみたいですね。舞台の扉を開けた途端、紙芝居の世界が一気に凝縮して漂い始めるので、みんなの視線が集まります。さらに読み手の声が舞台の四方八方から聞こえてくるので、物語があちこち広がり始めます。紙芝居ってこんなに自由で解放的で楽しいんだと、改めて驚きました。
小島:舞台に自分の描いた絵が登場したときの嬉しそうな顔や真剣に見入っているまなざしをみて、絵を描いた先に物語がある紙芝居っていいなと。またみんなの「おもいつき」が集まった紙芝居の会、しましょう。

PROFILE
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- 女優
- 小島聖
1976年生まれ、東京都出身。1989年、NHK大河ドラマ『春日局』で女優デビュー。その後、ドラマや映画、CMなど様々な分野で活躍。柔らかな雰囲気と存在感には定評があり、映像作品はもとより話題の演出家の舞台にも多数出演。また30代で出会った山の魅力に魅せられ、プライベートでは国内外の様々な山を登るなどアウトドアに関するライフスタイルでも注目され、2018年には自身初のエッセイとなる「野生のベリージャム(青幻舎)」を刊行。
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- 画家
- 平松麻
1982年生まれ、東京都出身。油彩画を主として展覧会での作品発表を軸に活動する。自身の体内に実在する景色を絵画にし、「雲」をモチーフに据えた心象風景を描く。2020年6月~2021年末まで、朝日新聞夕刊連載小説、柴田元幸新訳「ガリバー旅行記」の挿絵を担当中。森岡督行・書籍(『本と店主』誠文堂新光社/15年)、村上春樹・アンデルセン文学賞受賞の講演テキスト(『MONKEY vol.11』SWITCH PUBLISHING/17年)、穂村弘・書籍(『きっとあの人は眠っているんだよ 穂村弘の読書日記』河出書房新社/17年)、三品輝起・書籍(『雑貨の終わり』新潮社/20年)など挿画も手掛ける。マッチ箱に絵を描くシリーズ「Things Once Mine かつてここにいたもの」も発表中。
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